Burton Langer

名古屋国際会議場での第25回特定非営利活動法人日本臨床歯周病学会年次大会でkeynote address は “The Regeneration of Soft Tissue and Bone around Teeth and Implants” Burton Langer,DMD,MSDによる。
初日23日はroot coverageとridge augmentationのconnective tissue graftの基礎について,開発者自ら語ってくれた。 写真が美しくないという声もあったようだが,本来,開業臨床医であるLangerが記録として撮影してきた写真は説得力があるし,講演向けにきれいに撮影された写真は本末転倒という気もするので筆者としては良いと評価する。 講演をするのが本業ではクリニシャンとは言えまい。 root coverage のレスキューのアイデアを2つ紹介してくれたが,これは知らなかった。 午後はインプラントのridge augmentation。 目新しいものではないが,写真の日付を見て頷いた。 やはり,彼はパイオニアである。
翌24日は梅雨空の中,歯周組織再生とインプラントのヘビーなケースの紹介。 regenerationは骨移植を中心に行っているようでEMDは大してあてにしていないような印象であった。 defectにパーティクルをタイトに詰めるのが良いという。 defect部位の歯根面上に歯石があるのかないのかで根面処理を変えている。 歯石がある場合はテトラサイクリンの水溶液を用いて,ない場合はなにもしないという。 これは既存の繊維とセメント質を壊したくないためと考えられるが大胆である。 そこまで目視による確認を信じていいものかどうか・・・。 かなうならアシスタントさせていただきたいものである。  垂直性の骨欠損においてregenerationをする場合SRPを局所的に行わないという意見には大きく同意。 骨増生はTRを使った下顎遊離端の垂直挙上もずいぶん行っているようである。 augmentationは基本に忠実で突飛な事は当然ながらない。 しかし,全ての結果が上々で妥協が感じられる結果がほとんどないというのが素晴らしい。 インプラントはmark 1からブローネマルクだけを使っているようである。 インプラントの埋入も特別なことは何もないのだが全てのレントゲンで第1スレッドやや上くらいで骨が長期安定している。 原理的には全くそのとおりなのであるが,その例外がほとんどないのには感銘を覚えた。 しかし,彼ほどの歯周病専門医であってもさまざまな問題を抱えた重症歯周炎は増悪し,天然歯がインプラントに置き換わっていくケースを紹介していた。 これは避けられないことかもしれない。 そのようなケースでさえ,最初のインプラントと追加されたインプラントの第1スレッドの骨レベルが長期的に不変であることは彼の技術の凄さと,歯周炎という特殊な病気はそのままインプラントには当てはまらず,現時点において我々が有する有効な唯一無二の安定した治療法であるという主張であろう。 天然歯に挟まれたside by sideの2本植立のケースのいくつかはいずれも天然歯インプラント間よりもインプラントインプラント間のほうがやや狭くしているように感じられたが何故だったのだろう? グラフトする際にはフィクスチャーマウントを装着したままの写真が多かったが,カバースクリューやTHA装着に不自由ではないのであろうか? 特記事項としてフィクスチャーマウントは全てブローネマルク第1世代のフィクスチャーと同等の太さがあるチタンのものばかりでスターグリップは見当たらなかった。 複数歯のインプラント距離を確認するには良いと思うが慣れていて信頼しているのだろう。
全ての手術はNo15のブレードと5-0くらいの縫合だけで行われているオーソドックスなものだが,結果は必ず上々に出る。 これは,抑えなければいけないポイントを熟知しておりそれを結果に結びつけるための描写が完璧に頭の中にあるのだろう。 筆者も理解しているつもりではあったが道具に頼りすぎているかもしれないなと反省した。 ”vascurarity, vascurarity, vascurarity !”と繰り返し謳いながら最後に上顎前歯のdistractionのケースで締めた。 齢70を過ぎるであろうに今でも世界を牽引している巨匠である。 歯科の技術はやはり長年続けるのが肝心であると痛感した。 筆者も取り残されることなく70歳まで元気に臨床を続けていければいいなと感じ入った次第である。
2005年のAAPでインタラクティブ・ディスカッションを行った際に見せてくれた診断と治療戦略についての切れ味鋭い解説がとても良かったので,そういった話を期待したが,わずか2日という範囲では幕の内弁当的にならざるを得ないのは仕方がない。 ましてや,彼ほどのキャリアともなれば幕の内の具を選ぶだけでも目移りして困難だろうし,バラエティー豊かな症例であらゆるレベルの聴衆を楽しませようと親切心があるだろうから,どうしてもポリシー的には散漫にならざるを得ないと思う。
 このLanger先生は,間違いなく歯周病専門医の鉄人の一人で80年代以降の専門医の仕事の流れを引っ張ってきた実力者と言い切れるだろう。 下に引用したレポートが,MGSをPerioPlastic surgery へと発展させていったエポックである。 筆者は1988年に大学院に入ったころ,歯周病の基本的な文献を読んでいた頃いたく感激したが,当時の大学の先生たちにはほとんど興味の対象ではなかったようである(その理由は現在では良く分かるが・・・)。 
1990年代になり,筆者が駆け出しの歯周病専門医として仕事をし始め,resective surgeryをようやく習得しつつあった頃,取り組み始めたのがroot coverageだった。 現在に至るまでアップデートを続けているが,Langer先生は30年も前からやっているわけで,筆者など彼の手のひらの中で踊っているサルに過ぎないのかもしれない(笑。
J Periodontol. 1985 Dec;56(12):715-20.
Subepithelial connective tissue graft technique for root coverage.
Langer B, Langer L.
This article describes the use of the subepithelial connective tissue graft as a donor source for root coverage. The success of these grafts has been attributed to the double-blood supply at the recipient site from the underlying connective tissue base and the overlying recipient flap. Four cases have been illustrated to demonstrate the versatility of this procedure for areas of single or multiple root coverage especially in the maxillary arch, coverage of existing crown margins and areas requiring a combination of ridge augmentation and root coverage. An increase of 2 to 6 mm of root coverage has been achieved in 56 cases over 4 years with minimal sulcus depth and no recurrence of recession. The donor site is a closed wound which produces less postoperative discomfort.
PMID: 3866056 [PubMed – indexed for MEDLINE]

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