歯周病勉強会@水道橋 03/18/2006

 症例は,静岡の先生による,上顎インプラントのクロスアーチ補綴。 大規模なインプラント修復はあまり手がけているわけではないとのこと。 いろいろな情報と研鑽により術者が学習していく過程がうかがわれて興味深かった。 筆者にとってなじみのないシステムであったので相違点も含め関心を持った。 是非とも治療結果が長持ちしてくれれば幸いである。
抄訳は遠藤先生による。単根歯の審美的な要素が必要な部位への抜歯からインプラント治療にいたるまでの間にどのような処置が必要でそれをどのように選択していくかどうかという総説。 取り上げられた論文のテーブルはここには収まりきらず,後日リンクを張り公開する予定。

J Periodontol. 2005 May;76(5):821-31. Related Articles,

Treatment options following single-rooted tooth removal: a literature review and proposed hierarchy of treatment selection.

Fugazzotto PA.

Private practice, Milton, MA 02186, USA. progressiveperio@aol.com

BACKGROUND: Alveolar bone changes following tooth extraction have been well documented and have given rise to a number of treatment approaches. Included in these approaches are placement of various grafting materials, immediate implant placement, and a combination of both. METHODS: A review of all pertinent literature discussing regenerative therapy at the time of tooth extraction or immediate implant placement with or without concomitant regenerative therapy was carried out. RESULTS: A clinically-based hierarchy of treatment selection following extraction of single rooted teeth is proposed, based upon the available literature and clinical experience. The role of patient phenotype is considered. CONCLUSION: Utilization of the proposed hierarchy of treatment selection affords a logical framework within which to predictably treat a variety of patients.

Publication Types:

  • Review

PMID: 15898944 [PubMed – indexed for MEDLINE]

Introduction
 再生治療なしの抜歯後の歯槽堤で,予測不可能な,そして時には臨床的に大きな変化起こることがよく報告されてきた。頬舌的な歯槽堤の崩壊や大きな萎縮が,抜歯後12ヶ月以上も続くかもしれない。このような歯槽骨の変化はしばしば,審美的な結果を妥協的なものとしたり,不適切な埋入位置となるような結果になったりしてしまう。隣接する骨にも影響するかもしれない。
 これらの抜歯後の歯槽堤に起こる,臨床的に大きな歯槽堤の変化を認識することによって,歯槽骨の再生や歯槽堤の萎縮を改善する再生治療の様々な材料やテクニックが開発されてきた。
 自家(骨)や非自家の粒子材料と様々なmembraneを抜歯時に用いたGBRの効果が証明されている。研究者たちはダメージを受けた抜歯窩の再生を報告してきた。
 再生治療を伴うあるいは伴わないimmediate placementが,予測可能な高いレベルのosseointegrationを示す結果を示してきた。これらの結果は,臨床的に幅広い治療計画の中で,様々なimplant surfaceにおいて報告されている。
 現在,臨床家が直面していることは,最大限の再生と審美的な結果を目指して,抜歯後どのような治療を実施するかを決定することである。この研究の目的は,文献の評価から,抜歯後の治療選択にとってのhierarchyを提案することで,そしてそれらの結果から臨床医が日々直面している臨床のscenariosの結果を予測すること。

Materials & Methods
 抜歯時の再生治療,あるいはimplantのimmediate placement,再生治療を同時に行なったimmediate placementを検討した全ての文献がreviewされた。(文献の検索方法や入手法につての記載はなし)

Inclusion criteria

  1. 少なくとも10 caseが記録されていること。
  2. 全てのimplantが新鮮な抜歯窩に埋入されて,osseointegrationの獲得を評価されていること。
  3. 累積成功率あるいは失敗率が適切に報告されていること。

Discussion
 単根歯の抜歯後における治療選択の順序立てをするためにnarrative reviewを用いた。一方でnarrative reviewは,不都合な点がよく指摘される。reviewする範囲が広範囲にわたることや,データの収集にばらつきがでることやバイアスがかかりやすいこと,また今回の領域で入手した文献は,PICO/formatに則したものではなかった。今回の領域で入手した文献は,大部分がcase seriesで,いくつかのcase control studyとsizeの異なるRCTがあった。
 ほとんどの文献が,抜歯後に再生治療の応用によってimplant埋入にとって適切な骨が再生した,成功的な結果を示していて,このような結果は,欠損する前の歯槽堤の形態に完全に再生することが要求されるesthetic areaの治療についての適用が考慮される。同様にほとんどの著者は,immediate placementや再生治療の成功率や失敗率を,coverage of implant body with regenerated boneやsuccessful implant function over timeといった表現で報告している。
 抜歯時にImplantを埋入しない再生治療と,再生治療を伴う即時埋入と再生治療を伴わない即時埋入のそれぞれをdiscussionすることは,抜歯後の治療を決定する鍵となる必要不可欠なものである。
 前述のとおり,再生治療やimmediate placementに関する文献のdiscussionにおいては,得られる骨の量や残った欠損の形態にフォーカスが当てられてきた。しかしまず最初に議論すべき他のfactorがあり,それは術後の硬・軟組織の反応を予測することに役立つpatients phenotypeについてである。
 硬組織や軟組織の吸収やrecessionの反応は,patient phenotypeによって大きく左右することが証明されている。薄くてscallopの強い(MS)硬・軟組織は,厚くてscallopの弱い(LS)よりも,外科処置後の硬組織の吸収や,軟組織のrecessionが起こりやすい。Block and Kentは,このことがimmediate implant placement後においても同様に起こることを報告し,これらの現象を,硬組織と軟組織の量的なものと質的なものの両方において説明した。(31,59)
 抜歯後の治療の選択に関しては,多くのdecision makingが必要で,個々の患者のphenotypeを理解し,治療の反応を予測する。
 局所麻酔を行なう時の,needle probingによって抜歯窩の形態に関する情報を得ることができる。もしneedle probingによって抜歯窩が傷ついていなく,隣接の骨の高さも十分で,buccal plateも無傷であると思われた場合は,flapを開けずに抜歯する。最終的な欠損の形態は,抜歯後やflapを開けた時に把握できる。
 もしも局所麻酔時のneedle probingで,buccal plateが崩壊していたり,隣接の骨がlossして抜歯窩の形態が危ういと思われる場合は,素早くシンプルに抜歯するために,flapを開けて抜歯を行なう。Flap designは,処置後に完全閉鎖が得られるように,適切な減張切開のdesignを含めて考慮する。

Ⅰ. If primary implant stability cannot be attained

初期固定の獲得と理想的な補綴的position:
もしもimplantが理想的な補綴的positionで初期固定が得られない場合は,immediate placementは考慮されるべきではない。このような場合は,歯槽骨の欠損形態を回復させるための再生治療を選択する。

 粒子状材料と,吸収性あるいは非吸収性あるいは補強型の吸収性membraneを抜歯時に用いることによって,抜歯後の歯槽堤の高さと幅のlossをより少なくする。スペースの維持がない欠損に,titanium-reinforced membraneで粒子状材料を被覆することによって,吸収性membraneと比較して,よりよい結果が得られた。ゆえに臨床家にとって最大限の審美的な結果を可能にする。
 数多くの研究が,様々な抜歯窩にimplantを埋入し,露出したimplant surfaceを超えて硬組織が再生したことを証明して,またこれらのimplantが機能的にも成功していたが,歯槽堤の変化が完全には評価されていない。30本のimplantが新鮮な抜歯窩に埋入されて,合成のgraft材membraneなしで用いられたが,2次手術の時には40%の部位で頬舌的な歯槽堤の幅の減少がみられた(56)。
 抜歯後や,implant埋入後や再生治療後の歯槽堤の幅の変化を評価した文献が少なかったために,提示された臨床例の質的な分析がされるべきで,抜歯後にimplantを埋入しない再生治療を選択するときの治療と使用する材料の選択には,理論的な解釈を合わせて行なわれるべきである。そこで治療選択のhierarchyを提案する試みがなされた。
 歯槽骨が再生する能力が,自家あるいは非自家の材料を吸収性あるいは非吸収性membraneによって覆うことで,証明されてきた。全てのmembraneはピンで固定され,ゆえにmembraneの移動を無くして,予測される再生した硬組織の最終的な形態を確実なものとした。臨床的な経験からもmembraneの移動は,初期の露出を引き起こしてしまう。

A. Spaceが維持された骨欠損
粒子状のあるいはブロックの材料を,安定させるために抜歯窩につめる。吸収性membraneで欠損を覆いピンで固定して,軟組織で完全に閉鎖する。6~8ヶ月でreentryして,補綴的に理想的なpositionにimplantを埋入する。
B. Spaceが維持されていない骨欠損
疾病前のあるいは外傷を受ける前の歯槽堤の形態を予想通りに再建するために,また被覆する軟組織の足場となるように歯槽堤のline angleを完全に再現するために,粒子状あるいはブロックの材料を抜歯窩につめて,titanium-reinforced membraneで覆ってピンで固定する。軟組織で完全に閉鎖し,6~8ヶ月後にreentryして,補綴的に理想的な位置にimplantを埋入する。

 重要なことは,欠損のspace maintainingの可能性を正確に評価することである。妥協的なbuccal plateでは,吸収性membraneでの完全なsupportは得られず,歯槽堤のline angleを再建するために,non-space maintaining defectと分類しなければならない。この完全な評価に失敗すると,治療の結果が審美的にも機能的にも妥協的なものとなってしまう。
 自家のあるいは非自家の材料をmembraneと共に用いることは,歯周治療のtopicになっている。Membraneなしの自家骨のブロックが,“regenerative gold standard”であることに疑いはないが,自家骨のブロックをmembraneで覆うことを評価することには意味が無い。欠損の形態によって吸収性あるいはtitanium-reinforced membraneにより欠損は適切に分離されて,membraneはピンで固定される;membrane直下のspaceはgraft materialで満たされる;軟組織による完全閉鎖が得られ;再生部位の術後の外力がcontrolされる。自家のgraft materialが生体適合性や生体吸収性や再生のスピードで,非自家の材料に勝っているということは証明されていない。結果として,私たちがregenerative materialとmembraneの併用を選択する時には以下のことについて分析することが必要となる;自家骨のブロックを用いることにより再生のスピードが増加するという,十分な根拠が示せるか? もしも近接する部位から即時にブロックを獲得できれば答えはyesである。しかし,ブロックを獲得するために二次的な外科処置が必要な場合は,非自家の材料を用いることが有意義かもしれない。
 もし抜歯窩の形態によって,補綴的に理想的な位置でimplantの初期固定が得られた場合には,esthetic zoneであるかどうかによって決定されなければならない。個々のesthetic zoneは患者とのconsultationやdiscussionによって決定されるべきである。Esthetic zoneは患者の要求によって決定されるべきで,術者によるものではない。

Ⅱ. If primary implant stability can be attained in the esthetic zone

  1. 抜歯窩のbuccal ridgeが完全に無傷で,近遠心の骨の高さが十分なときには,patient phenotypeによって治療が左右される。
    1. Flat thick phenotypeの場合は,頬側の骨や軟組織も厚く,治療は以下のどちらかとなる。
      1. HDDが2mm以下の場合
        flapを開けずにimplantを埋入する。Membraneも用いない。可能であれば,血餅を維持するためにmicrofibrillar collagenを欠損に挿入する。
      2. HDDが2mm以上の場合
        隣在歯の頬側の歯間乳頭を保存するように注意して頬側のflapを開ける。頬側のflapを適切な位置に縫合するための軟組織の維持と,隣在する歯間乳頭の喪失を最小限にするためである。Implantを埋入する。HDDを満たすためと血餅を維持するために,粒子状の材料をmembraneの直下につめる;吸収性membraneをピンで固定する。
    2. Scalloped-thin phenotypeの場合は,治療のアプローチはHDDには依存しない。
      このタイプの全ての患者は,頬側のflapが開けられる。そして前述したようにimplantを埋入し,吸収性membraneをピンで固定する。
       小さなHDDには可能であればmicrofibrillar collagenを満たして,大きいHDDは粒子状材料を満たす。頬側のridgeが無傷で,近遠心の骨も無傷であっても,buccal plateの吸収や軟組織の崩壊を防ぐために,membraneが用いられる。
  2. 水平的なbuccal ridge defectが3~5mmの場合で,近遠心の骨が無傷の場合
    implantを補綴的に理想的な位置に埋入し,implant周囲の残りの欠損を粒子状材料で満たして,titanium-reinforced membraneで覆ってピンで固定する。Flapを軟組織により完全閉鎖が得られるように縫合する。垂直的なbuccal ridge defectの範囲についてはtreatment modalityはない。3~5mmの水平的なbuccal ridge defectであれば,垂直的な欠損の範囲に関わらず,粒子状の材料とreinforced membraneによっておそらく確実に再生する。
  3. 水平的なbuccal ridge defectが5mm以上で,隣接の骨にも影響が出ている場合
    immediate placementはしない。適切なflapを開けて,ダメージを受けた骨を再生させるために,粒子状のあるいはブロックの材料を満たして,reinforced membraneをピンで固定する。理想的な位置に埋入するために,6~8ヶ月後にreentryする。Esthetic zoneにおける作業や,硬組織や軟組織の反応の予知性が低い時には,two-stageによる治療が義務づけられる。ゆえに結果として生じたあらゆる軟組織の変形は,implant埋入前に対処されるかもしれない。

Ⅲ. If primary implant stability can be attained outside of the esthetic zone
 もしも治療部位が患者にとってのesthetic zoneでなく,また理想的な位置での初期固定が得られたならば,

  1. 抜歯窩が無傷で,頬舌側,近遠心の骨が無傷であれば,治療はHDDの範囲に依存する。
    1. HDDが2mmより小さい
      flapを開けずに,implantを埋入する。可能であればmicrofibrillar collagenを血餅の維持のために用いる。このアプローチはpatient phenotypeに関わらず用いられる。
    2. HDDが2mmより大きい
      flapを開けてのimplantの埋入が必要となる。粒子状の材料で欠損を満たして,吸収性membraneで覆いピンで固定し軟組織での完全な閉鎖を図る。理想的な位置にimplantが埋入されると仮定して,このアプローチは,欠損の範囲に関わらず,non-esthetic zoneの治療に用いられる。
  2. 非審美の部位の欠損で頬側が大きく崩壊している場合は補綴的に理想的な位置に埋入した上で,顆粒状の各種グラフトをチタン強化型membraneと共に設置する。減張切開を施したフラップにテンションがかからぬように完全に閉じるように縫合する。このやり方は非審美の部位においてはスタンダードである。
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